パソコンの購入を検討する時、CPUの型番に「Core i3」「Ryzen 5」「Core i7」といった数字が並んでいるのを目にしますね。
この数字はCPU性能のグレードを示していますが、なぜか「 Core i2」や「Ryzen 4」のような偶数モデルを見かけることはありません。
どうして IntelやAMDのCPUナンバリングは奇数なのでしょうか?
この記事では IntelのCore i シリーズ ・ AMDのRyzenシリーズのナンバリングについて少し掘り下げて解説します。
これにはマーケティング上の戦略と、消費者が製品を理解しやすくするための工夫が込められています。
階層を分かりやすく示す「奇数」の不思議

結論から言うと、CPUのナンバリングに奇数が使われているのは、製品のグレード(性能の階層)を直感的に分かりやすくするためです。
自動車業界でも BMWの「3シリーズ・5シリーズ・7シリーズ」のように、奇数で数字が大きくなるほど高級・高性能になるというブランディングがよく使われます。CPUもそれと同じです。
| 3 | 5 | 7 | 9 |
| エントリーモデル (基本的な性能) | ミドルレンジ (多くの人におすすめのバランス型) | ハイエンド (高性能を求める方向け) | 最上位モデル (プロや究極の性能を求める方向け) |
考えてみると確かに、この 3 → 5 → 7 という3段階は分かりやすいですね。
「5だったらちょうど真ん中くらいの性能だ」というのが直感的に分かります。
例えば、2 → 4 → 6 → 8 だったらどうでしょうか?
2 がエントリーモデル
4 がミドルレンジ(中間の性能)
6 がハイエンドモデルってなんだかしっくりきませんよね。
低 → 中 → 高 → 最上級
これを表すには3 → 5 → 7→ 9 が直感的に分かります。
よく考えられていますね。
このように奇数に絞ることで各モデル間の性能差の「間隔」を大きく見せ、ユーザーがグレードを選びやすくしているんです。
先駆者インテルと追随したAMD

このナンバリング戦略を最初に成功させたのは、インテル (Intel) の「Core i」シリーズです。
2008年に登場した「Core i7」を皮切りに「i5」「i3」と展開していき、この階層的なブランドイメージを市場に定着させました。

AMDはかつて「Athlon」や「FX」といったブランドで展開していましたが、2017年に革新的な「Ryzen」シリーズを投入する際に、インテルの成功したナンバリング戦略を踏襲しました。
消費者がすんなりとCPUの性能を Ryzen と intel とで比較検討しやすくなったのは、このナンバリング戦略のおかげとも言えますね。
マーケティング上の奇数の「響き」と「印象」

マーケティングの観点からも、奇数ナンバリングは効果的です。
一般的に、奇数は偶数よりも個性的で記憶に残りやすいという心理的な効果があるとされています。「i3・i5・i7」というステップアップのフローはユーザーにとって覚えやすく、感覚的に「段階がある」と認識しやすい構成です。
消費者の記憶に残りやすく、ブランド戦略上も有利に働いています。
まとめ

このようにCPUのナンバリングが奇数である理由は、製品の性能グレードを消費者に直感的に、そして明確に伝えるためのマーケティング戦略です。
● 階層が明確になる : 奇数に絞ることで、各モデルの性能差や位置づけが分かりやすくなる。
● 選びやすさ : 消費者は自分の予算や用途に合わせて、グレードを簡単に選べる。
● ブランドイメージの定着 : 「7は高性能」といった共通認識を確立しやすくなる。
普段何気なく見ている製品の型番にも、実は企業の様々な工夫や戦略が隠されています。
次にCPUを選ぶ時にこのナンバリングの「意図」を思い出してみて、他にもどんなところにマーケティング戦略が隠されているか考えてみると面白いかもしれませんね。
